初めての郵便戦

ニュースレター16号から)

概要
まず、郵便戦の特徴とどういった活用ができるかを説明します。

次に郵便戦対局のための準備を説明します。

最後に、初心者の郵便戦を実施した対局例を参考に解説します。
1.郵便戦の特徴
郵便戦は、葉書(はがき)、封書を利用し、チェスの指し手をやりとりする対局方法です。

海外の人と対局する国際戦では、FAXとか電子メールも範囲に含まれています。

日本での国内戦では、葉書(はがき)、封書を利用しています。

葉書や封書は郵送日数もあり、余分に考えられたり、ゆとりを持っていられます。
また、多彩な切手や絵はがきなど使われる方もいますので、通信媒体の楽しみもあります。

イラストやメッセージを添えることもたやすいです。
また、郵便戦は、その他の通信手段と比べてあまりパソコンとかの設備を必要としません。
8行8列の図と棋譜を書くメモ用紙、葉書(はがき)があれば、

インタネットの通信事情が悪いところでも対局できます。緊急の場合は、代筆を頼むことも容易です。

知的なトレーニングとして郵便戦は割と入りやすい対局です。
さらに、郵便物を出しに郵便ポストまで歩くという運動にもなります。
但し、切手代がかかります。葉書(はがき)を使う場合国内で50円です。

週に1局1往復のペースが大体ですので、

予選を申し込むとすると月に3(人/試合)*4(回/月)*50(円/月)=600円です。

2.郵便戦のための準備
郵便戦を行うためには、どういう準備が必要でしょうか?他の通信手段と同様、

8行8列の図と棋譜を書くメモ用紙が必要です。メモ用紙でなくても、記録しておくものが必要となります。
メモ用紙の図は、P,R,B,N,Q,Kの記号で記録することが多いです。

黒の駒(こま)の場合、記号を○で囲って、白の駒と区別します。
指し手が進むたびに消しゴムで消して最新の局面に変えていきます。

人によっては、メモ用紙の局面を市販のチェス駒、チェス盤で手を考えることもするでしょう。

パソコンの有償、無償のソフトを利用して、

メモ用紙や駒や盤代わりをするという方法も良く採られる方法です。
次に葉書(はがき)です。必要項目を満たせば自由に書いてよいです。

もし、パソコンとか持っているのであれば、

図と必要項目を書いて葉書(はがき)に多量に印刷しておくと楽です。

封書の方もいますが、葉書(はがき)にするかは好みです。
国際戦では、手の移動を図に矢印で示す方法を採られる方もいます。

あとは、事務局にトーナメントを申し込んで実戦です。

3.初心者の郵便戦を実施した対局例
対局例として、私の娘の齋藤真実と高塚久美子さんの対局を取り上げます。対局の選択から説明します。
齋藤真実は、チェス暦がほとんどありません。

今回編集に参加することになり、チェスの対局の雰囲気をつかむ必要から、まず、はじめることとなりました。
最初、トーナメントのどれを選ぶかが問題です。

郵便、電子メール、ウェブといくつかありますが、週1回ペースでゆっくり指したい、絵もちょこっと描きたい、

雑談もしたいとか希望があり、郵便戦の選択となりました。
次にどの種類を選ぶか。初心者ですので、予選は人数が多いですので、遠慮しました。

残るは梯子段戦か2gameMatchかトリオ戦のどれかです。

早く対局するという前提だと梯子段戦か2gameMatchが残りました。

さらにベテランの方の対局がよいであろうという考慮がありました。

そこで、既に申し込まれているベテランの方と

マッチングの可能性の高い2gameMatch を申し込むこととなりました。
記録用紙代わりにパソコンを利用してます。

葉書(はがき)は、100円ショップで50枚100円を買い、表面のみ印刷し、

50円切手も取り合えず1シート20枚購入しました。50手程度準備しておけば、十分です。
真実は、そばに渡辺暁さん著のチェスの本があるのですが、

駒の動かし方のみ読んで、あとは、力攻めの方針でした。

オープニングが良く分からないというのが理由みたいです。

オープニングの指し手の根拠が分からないので意思のない指し手に思えるようです。
ここは、指し手の解説付進行です。

高レイティング同士の対局と違って、あちらにこちらに迷いがありますが、陥ったところも説明しますので、

初心者の方は、参考にして陥らないよう指されるよいでしょう。
A局(高塚久美子-齋藤真実)
1.e4 e5 2.Nf3 f6 3.Bc4 Ne7 4.d4 c6 5.dxe5 b5 6.Bb3 Ng6 7.exf6 gxf6 8.c3 c5  以降継続
2..f6あたりから、通常のオープニングから外れてきました。e5のポーンを守る手で選んだということでした。
3.Nxe5としておくと白が優位ですが、白は黒に少しやさしい手を指しました。
厳しい手では、3.Nxe5以降はQを動かし、Rのただ取りを狙います。
4.d4から、引き続き白優位の流れです。
B局(齋藤真実-高塚久美子)
1.d4 Nf6 2.f3 g6 3.e4 Bg7 4.c4 O-O 5.h4 d6 6.d5 c5 7.g4 Nbd7 8.g5 以降継続
2.f3あたりから、通常のオープニングから外れてきました。

手を変えたかったで選んだということでした。2..d5としてセンターに勢力を広げる手かと思いましたが、

まず守りの手を黒は選びました。
黒3手目は3..d6でもよいかと思います。4.c4の応手4.O-Oで黒が指しやすいです。白の
進行を見るとポーンしか動いていません。どこかで他(ほか)の駒を動かすとよかったでしょう。

4.終わりに
郵便戦は、電子メール、ウェブの普及で対局数は減るかもしれませんが、ローテクノロジーであるゆえに、

どこでもだれでも対局できる要素を持ちます。まず、試しに郵便戦の門を叩(たた)いてみてはどうでしょうか?

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