通信チェスの対局マナー

はじめに心得ておきたいこと
1.チェスは、紳士淑女のゲーム
お互いに、真面目なゲームをプレイすることはもちろんですが、チェスは紳士淑女のゲームです。マナーよく相手の感情を損なうような行為は慎みましょう。

2.相手の立場を考えて
通信チェスはテーブル・ゲームと異なり、対局者同士も、進行係のトーナメント・ディレクター(TD)も、すべて遠くに離れていて、お互いに立場や事情が違います。

相手の立場や事情に配慮しあうように心がけましょう。

3.記号はシッカリと
通信チェスは、駒の動きを書くことで、「手を指した」ことになります。入門書などで国際式(代数式)の記号をマスターして下さい。「読める」だけでなく、「書く」ことも。

4.ルールは、よく読んで
ゲームは「JCCAの競技規則」に従って進行します。各ルールのページに分かれていますが「郵便対局のルール」が基本です。

初めに、「サラっと読んで」そして「通信チェスって何なの?」の下の各ページ(「..の指し方」など)全部に目を通されてから「もう一度」読んで下さい。

くわしくは、ゲームの途中にでも。

わからないところは、ゲームの進行によって、しだいに納得されることでしょう。

トーナメントでは経験豊富な先輩と対局することもありますから、ゲーム中に指摘されたり、質問したりして、徐々に要領を会得、円滑に進行しています。

5.こんなときはTDへ
指し手や時間の書き方でトラブルがあったとき。予想手の提示や受け入れで誤解のあったとき。相手の返信がなく、ゲームが中断したとき。など……。なんでも。

2015年10月25日 | カテゴリー :

郵便チェスの指し方

郵便チェスではハガキに次のように指し手を書きます。

郵便対局の要領

郵便チェスでは「封書(手紙)」や「絵はがき」も多用されていますが、海外では既製の「郵便チェス用ポスタル・カード」が多く用いられています。
しかし日本国内では、安くて購入しやすい「官製はがき」が常用されています。
ここでは、この「はがき」を利用してゲームをする、JCCA予選トーナメントでの対局を再現、郵便チェスの対局要領をごらんにいれましょう。

○トーナメントの種類 = 予選第500組
A局=白番 丸山氏、黒番 角川氏、4月15日丸山氏よりスタート。
B局=白番 角川氏、黒番 丸山氏、4月18日スタート。

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(1)丸山氏第1信
#500
A局 1. e4

もし、1… e5 なら
2. Nf3 とします。
他の手なら、再考します。

4/15発  A局(0 : 0)

TDからの指示書通り、本日スタートいたしました。
楽しく、対局しましょう。
どうぞ、よろしく。
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(2)角川氏第1信
#500
A局 1. e4 e5
2. Nf3 Nc6

B局 1. d4

もし、1… d5 なら
2. c4 とします。

4/15 消印、4/17 着、4/18 発
A(0 : 1) B(0 : 0)

当方、新人です。お手柔らかに。

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(3)丸山氏第2信
#500
A局 1… e5
2. Nf3 Nc6
3. Bc4

もし、3… Bc5 なら 4. c3 とします。
他の手なら再考。

B局 1. d4 d5
2. c4 c6

4/18 消印、4/21 着、4/22 発
A(1 : 1) B(0 : 1)

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(4)角川氏第2信

#500
A局 3. Bc4 Nf6

B局 2… c6
3. Nf3

4/23 消印、4/25 着、4/27 発
A(2 : 3) B(2 : 2)

貴方のおハガキには、4月22日発とありましたが、
消印が23日でしたので、
貴方の総消費日数を1日加算(Aの白とBの黒を+1)しました。
なお、A局の予想手は受けません。

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◎上の郵便対局の説明(はがきの書き方)

(a) 指すことを決めた(確定した)指し手にはアンダーライン(__)を引いておきます。こうしておくと、相手にもよくわかり便利です。(b) 先信に書いてある「相手の指した手」は、確認(了承)した意味で前記します。間違いなく記さなくてはなりません。1手目からの全指し手を書くには及びません。

(c) 予想手は、記入(提案)するもしないも、承諾するもしないも一切自由です。また、一部だけ承諾することもできます。数手の予想手を承諾したときは、その承諾部分のみをすべて記入、相手に承諾したことを正しく知らせて下さい。ただし、相手の「もし… なら」の手を指して、相手の提案に対する手を指さないことのはできません。上のはがきの(2)でいえば、1. e4 e5 とだけ書いて、2. Nf3 に対する応手を書かないのはルール違反です。

(d) 新たに予想手を記入し相手に提案したときは、それを撤回することはできません。

(e) 指し手とともに、相手の発信日、それの到着日、自分の発信日および、ゲーム別の白黒双方の総消費日数を、必ず書き添えます。相手の発信日は、そのはがき(または封書)の消印(不鮮明のときは、相手の書いてきた発信日)、自分の発信日はポストへの投函日でなく郵便局の消印予想日です。日付と日数の書き方は様式に決まりがありません。上のはがきは一例です。他の書き方をする人もいます。

2015年10月25日 | カテゴリー :

Eメールチェスの指し方

Eメール対局では指し手を次のように対局相手に伝えます。

Eメール対局の要領
インターネットでチェスを指す……というと、長時間パソコンに向かってリアルタイムで、つまりオンラインで指す方も多いようですが、環境の違うもの同士でも手軽に対局できる、Eメールを使った通信チェスも親しまれています。

Eメールチェスは、ルールが少々異なるだけで郵便チェスと基本的には変わりません。はがきや封書を使う代わりに、Eメールで送受信します。(ですから、もし通信チェスが初めてなら、Eメールチェスについて知る前に「郵便チェスの指し方」を一読するのがよいでしょう)

まず「Email対局のルール」でルールの概要を理解して下さい

JCCAのEメール対局はこのルールで行われますが、基本的には郵便対局と変わりません。郵便対局とEメール(ともに国内対局)の違いの大要は次の通りです。ご参考までに。

※国際対局では原則Eメールが中心となる対局はありません。

◎ ルールの主な異同と特徴

受信日は到着の翌日まで。
例えば、5月5日に自分のメールサーバに届いたEメールは、5月6日までに受け取らなければなりません(実際に開くのはずっと後でもかまいませんが、記録は6日に受け取ったものとして扱わねばなりません)。
なお、もし、受信者の地域時の午後8時より前に手が到着した場合、その日に到着したとみなす。もし、受信者の地域時の午後8時より後に手が到着した場合、その翌日に到着したとみなすことができるとルールにはなっています。
相手が2日以上とした場合は、 TD(トーナメント・ディレクター)に連絡して、相手がルールに従うようTDに指示してもらうことができます。ただ、Eメールの延着はたまに起こります。まれには不着も。相手がルールに反しているのか実際にEメールが遅れたのか、慎重に判断する必要があります。
郵便との類推でいうと、メールサーバにEメールが到着した日は自分の家の郵便受けにはがきが着いた日、メーラーなどでそのEメールを開くのはポストからはがきを取ってきて見ること。

指し手の送信のさいには、1手目から全部の指し手を書かなければなりません。Eメールではコピー&ペーストが使えますから容易なことです。

スピードを重視していますが、持ち時間(消費日数)は郵便と同じ10手30日あります。

休暇は郵便対局と同じようにとることができます。

表記法(指し手=棋譜の書き方)は郵便対局と同じ代数式を用い、駒記号も同じ (KQRBN) です(国際対局では主に数字式を用います)。

◎ では実際の対局の様子を見てみましょう。
仮に、Eメール予選トーナメント第600組、丸山氏と角川氏との対局とします。
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差出人: maruyamai@some.domain.or.jp
件名: Email Prelim 600
日時: 2009年9月11日 17:37:14:JST
宛先: kadkweij@another.domain.com
—————————————
角川さん、はじめまして。よろしくお願いします。
もしイベント名やお名前などに間違いがあればお知らせ願います。

A局
[Event “Email Prelim 500”]
[Site “JCCA”]
[Date “2009.09.15”]
[Round “-“]
[White “Maruyama, Iseki”]
[Black “Kadokawa, Eiji”]
[Result “*”]
[WhiteJCCA “1652”]
[BlackJCCA “1580”]

1. e4 *

白:丸山(——–/20090911 -日/-日)
黒:角川(——–/——– -日/-日)

B局
1. *
白:角川(——–/——– -日/-日)
黒:丸山(——–/——– -日/-日)
____________________________
maruyaman@some.domain.or.jp
丸山 伊勢樹
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差出人: kadkweij@another.domain.com
件名: Re: Email Prelim 600
日時: 2009年9月12日 17:37:14:JST
宛先: maruyamai@some.domain.or.jp
—————————————
丸山様、
こちらこそよろしくお願いします。

MARUYAMA – Kadokawa
1. e4 e5

–.– 09.11 0 0 white
rcvd sent time total
09.11 09.12 (1) 0 black

Kadokawa – MARUYAMA
1. d4

–.– 09.12 0 0 white
rcvd sent time total
–.– –.– 0 0 black

なお、イベントや名前に間違いはありません。

////////////////////////////
kadkweij@another.domain.com
角川 英二
////////////////////////////
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丸山さんはゲーム開始にあたり、報告書で使うPGNのヘッダーを使って間違いがないか確認しようとしています。ルールではありませんが良い方法かもしれません。

丸山さんはPGNで使う「 * 」を使い、最後の指し手がどれかわかりやすくしています。これもルールではありませんが、郵便チェスで最後の指し手にアンダーラインする習慣に代わるものとして有効でしょう。

丸山さんは「A局」、「B局」として二つのゲームを区別しています。角川さんは“MARUYAMA – Kadokawa”、“Kadokawa – MARUYAMA”としています。明確であればどのようでもかまいません。

この予選トーナメントはダブルラウンドロビンです。二人とも1通のEメールに2局を記載しています。これもルールではありませんが郵便チェスの習慣を受け継いでいます。

二人の受信日や発信日、消費日数の書き方が違います。様式が決まってないので明確であればOKです。

なお、Eメールは HTMLメールではなく plain text にしましょう。HTMLメールは環境の違う人には読みにくいことがあります。またメールのサイズが大きくなって少しばかり不経済ですし、ウィルスが潜む危険もあるそうです。

相手のEメールに返信を続けることになりますが「引用」にすると、ときとして大変見づらくなります。引用のレベルはゼロにしましょう(「引用」ではないようにしましょう)。

2015年10月26日 | カテゴリー :

ウェブチェスの指し方

ウェブチェスではウェブサーバー上の盤面で駒を動かします。
ウェブサーバー対局を始めるのが不安な人のための ICCF WebChess 簡略操作ガイド
※詳しい日本語のマニュアルは、以下にあります。

通信チェスWeb対局操作マニュアル

 

〈ウェブチェスは、国内対局もICCFのサーバーをレンタルして行われています〉

トーナメントに申し込んでしばらくすると、スタートリストがEメールで送られてきます。 そこにあなたのICCF IDとパスワードが書かれています。

ICCF Webchessのホームページwww.iccf.com に行きます。
画面左上の Login をクリック。(スマートフォンだと、画面の上部のHomeのリストボックスから選択します。)
ログイン画面で、ICCF ID とパスワードを入力し、Loginボタンをクリック。
(初めてのログインの場合、パスワード変更画面になります。ここで古いパスワードを入力し、次に New password と Retype new password のところに、あなたの好みのパスワード[8文字以上で数字を含める]を入力し、Change Passwordボタンをクリック)

つぎは、メニュー画面左の My Game をクリック。
あなたの進行中のゲームの一覧表が表示されます。
この表左で、waitingと書いてあるものは、あなたの相手が考えている最中であることを示します。
Your turn と書いてあるのが、あなたの手番であるゲームです。 Your turn をクリックすると、ゲーム画面に行きます。
ここで、駒をドラッグ&ドロップで動かします(それだけでは手は相手に送られません)。
動かしたあと、その手をやめることにしたら、Undoボタンをクリック。
それでよいと思ったら、Submitボタンをクリック。
確認画面になります。

・ドローを申し出る場合は Offer draw にチェックを入れて、Submitボタンをクリック。

・リザインする場合は Resign にチェックを入れて、Submitボタンをクリック。
確認画面で Commitボタンをクリックすると、手が送信されます。

◎ 休暇をとりたい場合
ゲーム画面上の Event の部分をクリックし、Take leave をクリック。
休暇申請画面になります。
休暇の初日をStart dateの欄に、最終日をEnd dateの欄に、それぞれ書き込みます(画面下のカレンダー中の日をクリックすることで休暇期間を指定することもできます)。
Take leaveボタンをクリック。

◎ 相手が時間切れになった場合
相手の残り時間かがマイナスで表示されます。
ゲーム画面下には ‘Your opponent’s flag fell. Use the menu item “Claim win” in the “Game” menu to claim a win.’ などと表示されているでしょう。
郵便対局やEメール対局同様、相手が時間切れになっても直ちにゲームが終了するわけではなく、TDに勝ちの申し立てをしなければなりません。
ウェブ対局では手続きは簡単です(他の通信方法での場合はそれぞれのルールを参照してください)。
ゲーム画面上の Game の部分をクリックし、Clim win をクリック。
いつも使っているメールソフトの新規メール作成になりますから、TD宛に相手時間切れによる旨を書きます。
上のメッセージに倣って “My opponent’s flag fell.” とでもすればよいでしょう。

◎ TDへの連絡(トラブル時、など) ゲーム画面上の Email の部分をクリックし、Email TD をクリック。そしてTD宛の文面を書きます。

◎ TDの決定に不満があるとき(国際戦の場合、国内戦は、トーナメントオフィスにメールです。)
ゲーム画面上の Email の部分をクリックし、Email AC をクリック。そしてthe Appeals Commission 宛の文面を書きます(感情的な文を書かないように注意。状況と主張を冷静に書きましょう)。
※国内トーナメントの場合は、トーナメントオフィス当てに電子メールを送付します。

自動送信のEメールについて 手が指されるとシステムが自動的にEメールを発信します(送られてこない設定もできます)。
サーバーなどのトラブルで対局相手が指してもEメールが届かないことがあり得ます。
Eメール未着を時間切れなどのいい訳にはできません。
ゲーム中はEメールがなくても定期的にチェックするようにしましょう。

2015年10月26日 | カテゴリー :