Eメール対局では指し手を次のように対局相手に伝えます。
Eメール対局の要領
インターネットでチェスを指す......というと、長時間パソコンに向かってリアルタイムで、つまりオンラインで指す方も多いようですが、環境の違うもの同士でも手軽に対局できる、Eメールを使った通信チェスも親しまれています。
Eメールチェスは、ルールが少々異なるだけで郵便チェスと基本的には変わりません。はがきや封書を使う代わりに、Eメールで送受信します。(ですから、もし通信チェスが初めてなら、Eメールチェスについて知る前に「郵便チェスの指し方」と「郵便対局のルール」を一読するのがよいでしょう)
まず「Email対局のルール」でルールの概要を理解して下さい(改定が予定されています。しかし大筋では大きく変わることはないでしょう)。
JCCAのEメール対局はこのルールで行われますが、基本的には郵便対局と変わりません。郵便対局とEメール(ともに国内対局)の違いの大要は次の通りです。ご参考までに。
◎ ルールの主な異同と特徴
① 受信日は到着の翌日まで。
例えば、5月5日に自分のメールサーバに届いたEメールは、5月6日までに受け取らなければなりません(実際に開くのはずっと後でもかまいませんが、記録は6日に受け取ったものとして扱わねばなりません)。相手が2日以上とした場合は、 TD(トーナメント・ディレクター)に連絡して、相手がルールに従うようTDに指示してもらうことができます。ただ、Eメールの延着はたまに起こります。まれには不着も。相手がルールに反しているのか実際にEメールが遅れたのか、慎重に判断する必要があります。
このルールは深夜に、つまり日付が替わる頃になってEメールがメールサーバに届いた場合の不都合(不公平)を解消しようとするものです。
郵便との類推でいうと、メールサーバにEメールが到着した日は自分の家の郵便受けにはがきが着いた日、メーラーなどでそのEメールを開くのはポストからはがきを取ってきて見ること。
② 指し手の送信のさいには、1手目から全部の指し手を書かなければなりません。Eメールではコピー&ペーストが使えますから容易なことです。
③ スピードを重視していますが、持ち時間(消費日数)は郵便と同じ10手30日あります。
④ 休暇は郵便対局と同じようにとることができます。
⑤ 表記法(指し手=棋譜の書き方)は郵便対局と同じ代数式を用い、駒記号も同じ (KQRBN) です(国際対局では主に数字式を用います)。
◎ では実際の対局の様子を見てみましょう。
仮に、Eメール予選トーナメント第600組、丸山氏と角川氏との対局とします。
======================================= 差出人: maruyamai@some.domain.or.jp 件名: Email Prelim 600 日時: 2009年9月11日 17:37:14:JST 宛先: kadkweij@another.domain.com --------------------------------------- 角川さん、はじめまして。よろしくお願いします。 もしイベント名やお名前などに間違いがあればお知らせ願います。 A局 [Event "Email Prelim 500"] [Site "JCCA"] [Date "2009.09.15"] [Round "-"] [White "Maruyama, Iseki"] [Black "Kadokawa, Eiji"] [Result "*"] [WhiteJCCA "1652"] [BlackJCCA "1580"] 1. e4 * 白:丸山(--------/20090911 -日/-日) 黒:角川(--------/-------- -日/-日) B局 1. * 白:角川(--------/-------- -日/-日) 黒:丸山(--------/-------- -日/-日) ____________________________ maruyaman@some.domain.or.jp 丸山 伊勢樹 ======================================= 差出人: kadkweij@another.domain.com 件名: Re: Email Prelim 600 日時: 2009年9月12日 17:37:14:JST 宛先: maruyamai@some.domain.or.jp --------------------------------------- 丸山様、 こちらこそよろしくお願いします。 MARUYAMA - Kadokawa 1. e4 e5 --.-- 09.11 0 0 white rcvd sent time total 09.11 09.12 (1) 0 black Kadokawa - MARUYAMA 1. d4 --.-- 09.12 0 0 white rcvd sent time total --.-- --.-- 0 0 black なお、イベントや名前に間違いはありません。 //////////////////////////// kadkweij@another.domain.com 角川 英二 //////////////////////////// =======================================
丸山さんはゲーム開始にあたり、報告書で使うPGNのヘッダーを使って間違いがないか確認しようとしています。ルールではありませんが良い方法かもしれません。
丸山さんはPGNで使う「 * 」を使い、最後の指し手がどれかわかりやすくしています。これもルールではありませんが、郵便チェスで最後の指し手にアンダーラインする習慣に代わるものとして有効でしょう。
丸山さんは「A局」、「B局」として二つのゲームを区別しています。角川さんは“MARUYAMA - Kadokawa”、“Kadokawa - MARUYAMA”としています。明確であればどのようでもかまいません。
この予選トーナメントはダブルラウンドロビンです。二人とも1通のEメールに2局を記載しています。これもルールではありませんが郵便チェスの習慣を受け継いでいます。
二人の受信日や発信日、消費日数の書き方が違います。様式が決まってないので明確であればOKです。
なお、Eメールは HTMLメールではなく plain text にしましょう。HTMLメールは環境の違う人には読みにくいことがあります。またメールのサイズが大きくなって少しばかり不経済ですし、ウィルスが潜む危険もあるそうです。
相手のEメールに返信を続けることになりますが「引用」にすると、ときとして大変見づらくなります。引用のレベルはゼロにしましょう(「引用」ではないようにしましょう)。