JCCA郵便競技規則(競技のルール) 1995年9月1日改正
指し手の伝達
(1) ゲームは、この規則により、郵便を利用して行われる。
(2) 指し手は、明確な表記法を用いる。ゲーム開始時(開始前、または、第1手交信中)にお互いの了解がなされていない場合は、代数式(国際式・統一表記法)とし、駒記号は K, Q, R, B および N を用いる。
(3) 指し手には一連番号を付け(1. d4 とか、8... Nf6 とか、指し手に番号を付す)、ハガキ、または封書にて相手に送る。いったん投函された指し手は、電話、電報、速達などによっても(たとえ指し手より早く到着したとしても)変更できない。
(4) 相手に対し、指し手とともに1手、または数手の予想手を提案することができ、相手は、これに対応しなければならない。しかし、この提案の全部、または、一部を受諾するもしないもいっさい自由であるが、提案者は、相手の返信が到着するまでその予想手に拘束され、変更できない。
なお、提案された予想手と同じ手を選択したにもかかわらず、これに応じない返信をしたときには、ゲームの促進にそぐわない行為として、消費日数に(考慮日数として)5日加算される。
(例えば「1. e4 には 1... e5 なら 2. Nf3 とする」に対し「1... e5」とのみ返信した場合)
(5) 指し手には、相手からの指し手と、相手の提案した予想手の承諾部分を確認のため前記し、自分の指し手、および、提案する予想手を後記する。(一連の予想手を受け入れる場合は、正確な順序で、承諾した予想手のすべてを再記しなければならない)
また、指し手には、消費日数(この規則(11)参照)、トーナメントの種類、および、氏名、または、サインを記入する。(ハガキは表か裏に氏名が書かれていればよい。封書を用いる場合は、同封の紙片に必ず氏名、または、サインを書くこと)
(6) 不可能、または、判読不能の不明瞭な指し手を受け取った場合は、直ちに相手に訂正を求めなければならない。この場合、相手には反則として、消費日数を5日加算される。(同じ場所へ動ける同種の駒が2つ以上あるときに、どちらの駒か区別しなかった場合も不明瞭な手に含まれる)
これらの場合、その関係した駒を強制的に動かせられることもないし、指し直しのときに、必ずしも先に動かした駒を動かさなくともよい。
(7) 指し手に、取り、チェック、メイト、アンパッサンなどの符号を書かなくても、不可能な手とはならない。
また、指し手の一連の番号を誤記しても、指し手が判読できる場合は、不明瞭な手とはならない。
(8) 指し手は、消費日数とともに正確な順序で記録し、相手との交信は、すべてトーナメント完了の日まで保存しなければならない。
消費日数(制限日数)・日数超過と罰則
(9) 返信は、なるべく早いのを理想とするが、郵送日数を除き、10手ごとに30日の消費日数を与えられる。先の10手で余った消費日数は、次の10手に繰り越して用いることができる。
(10) 1回の交信に、消費日数を10日以上用いると思われるときは、前もって相手に通知しなければならない。
(11) 指し手には、次の消費日数に関する事項を付記しなければならない。
a、相手から来た指し手の消印の日付(確認)
b、相手から来た指し手の到着日
c、この自分の指し手の消印予想日(投函日ではない)
d、上のbとcの差から生じる消費日数(ゲーム別に)
e、この指し手までの、お互いの消費日数(ゲーム別に)
もし、これらの記載が不完全な場合は、それまでの相手の平均郵送日数を基礎として、自分で相手の消費日数を決定することができる。これは、直ちに相手に知らさなければならない。
○消費日数記載の例(見本)
相手の発信日(消印) 2月5日 2月5日 2月5日 当方への到着日 2月8日 2月8日 2月8日 自分の発信日(消印予想日) 2月8日 2月9日 2月10日 消費日数 0日 1日 2日 総消費日数 (20:18) (21:18) (22:18) ↑ ↑ 白 黒
(12) 相手から返信のあると思われる日より、10日以内(郵送日数を除く)に何の返信もないときは、前信を再記して相手に催促する。また、その催促による返信があると思われる日より10日以内に何の返信もないときは、そのむねをトーナメント・ディレクター(以下、TD)へ報告する。これらの返信予定日は、必ず、それまでの平均郵送日数によるものとする。
(13) 相手が消費日数(10手以内30日、20手以内60日、30手以内90日、以下これに準ずる)を超過したときは、TDに超過認定の請求をすることができる。これは、双方の総消費日数を記載してTDへ報告すればよい。
ただし、超過認定の請求は、相手の第10手、第20手、第30手等を受け取ってから7日以内にしなければ有効とはならない。これを逸したときは、次の認定の機会まで待たなければならない。
(14) 消費日数の超過認定の請求を受けたTDは、超過したとされる競技者に対し、その事実を問い合わせ、すみやかに判断を下さなければならない。
その結果、日数超過が確認された場合には、その競技者に対し、TDにより、反則による負けが宣告される。
(15) ゲームの進行に関して、TDよりの問い合わせに応答しなかった競技者は、ゲームを途中放棄したものと見なされ、TDは、その競技者に負けを宣告することができる。
休暇・終了・裁定
(16) ゲームの中断を希望する競技者は、TDと対局相手の全員に事前に通知すれば、1回、または、数回の休暇を許される。これは、暦年(1月1日~12月31日)に通算30日以内とする。特に休暇の延長を希望する競技者は、TDの許可を得て、傷病、職業上、学業上、チェス界のやむを得ない旅行等に限り、さらに通算30日以内の休暇を許される。
(17) 前項により休暇をする者は、期間を明記し、対局相手に通知しなければならない。
これを怠った者は、消費日数が継続して算入される。
なお、すでに休暇中の相手より指し手を受け取ったときは、その時点で相手の休暇は終了したものと見なされ、ゲームは続行される。したがって、消費日数を 普通に計算して返信すればよい。
(18) ゲームが終了したときは、勝者(ドローのときは白番の者)が棋譜を作成して、すみやかにTDに提出しなければならない。このさい、ゲームの開始日、終了日、両者の開始時のレイティング、および、本人のそのトーナメント(組)での通算成績を併記しなければならない。
(19) ゲームは、スタートの基準日より最長24か月をもっと終了するものとする。
これまでに終了せず、勝ち、負け、または、ドローの結果が得られないときは、TDに申請して裁定を受けなければならない。そのさい、両者は、意見を付記することができる。
(20) ゲームの結果につき(19)の裁定の申請を受けたTDはこれを裁定をする。このさい、判断が困難な場合は、相当の裁定委員を加えることができる。
(21) 競技者がゲームを中止したときは、TDはその競技者の全対局について、負けにするか無効にするか、対局の中断と見なすか裁定をする。死亡の場合も同様とする。
(22) トーナメントや、個々のゲームの進行については、すべてTDの指示に従うものとする。
付則
(23) 競技者が、以上の各項に反したと認められる場合には、TDは、競技者に対して、適当な処分をすることができる。
(24) TDの処置に異議がある競技者は、これを裁定委員会に提訴することができる。これは、その理由を文書(ハガキでも可)に記し、2週間以内に裁定委員会に提出しなければ有効とはならない。(注:宛名は「JCCA裁定委員会」、住所は事務局に同じ。Eメールを用いることもできる。アドレスはウェブサイトの「JCCA概要」のページにある問合せ用のものでよい。)
(25) 対局相手、TD、および、裁定委員会に問い合わせ中は、その往信の日付(消印日)より、それに対する返信の到着する日まで、ゲームは中断され、その消費日数は算入されない。
(26) 上記の(1)より(25)に定められていない事項については、国際通信チェス連盟(ICCF)の定めるところにより、また、国際通信チェス連盟(ICCF)に定めがない場合は、その慣習とするところに従い、管理されるものとする。