通信チェス世界チャンピオンへはどういう流れで進みますか?

通信チェスチャンピオンには、世界チャンピオン、女性世界チャンピオンがあります。

  • Preliminaries予選に入るには、プロモーショントーナメントで勝ち抜くか、早い方法ではJCCAから推薦される必要があります。

1)世界チャンピオン

  • Preliminaries→ Semi-Finals→ Candidates→Finalsの流れです。
予選→準決勝→決勝進出者選考→決勝と訳せばいいのかなと思う流れです。

Preliminariesの参加資格

  • 過去か進行中のCandidatesで、40%以上の勝率でFinalsに進出できなかった者
  • 過去か進行中のSemi-Finalsで50%以上の勝率でCandidatesに進出できなかった者
  • 過去のPreliminariesで60%以上の勝率でSemi-Finalsに進出できなかった者、
  • ICCF MasterClassの勝利者、
  • 過去か進行中のワールドカップFinalsで、50%以上の勝率を得た者
  • 過去の進行中の地域チャンピオン(カテゴリ9以上)で50%以上の勝率を得た者
  • 地域チャンピオン(カテゴリ8以下)で60%以上の勝率を得た者
  • Rating 2400以下で国ごとの推薦枠での推薦者
  • Rating 2300以上のIM
  • Rating 2250以上のSIM
  • GM
  • Rating 2500以上の者

Semi-Finalsの参加資格。

  • 過去か進行中のFinalsで1位ではない者
  • 過去か進行中のCandidatesで、50%以上の勝率でFinalsに進出できなかった者
  • 過去か進行中のSemi-Finalsで60%以上の勝率でCandidatesに進出できなかった者
  • Preliminariesの1位、2位
  • ワールドカップ(WC)の決勝で60%以上の勝率の者、
  • 過去か進行中の地域チャンピオン(カテゴリ9以上)で60%以上の勝率を得た者
  • 地域チャンピオン(カテゴリ8以下)で1位、2位
  • Rating 2400以上で国別組織の推薦者
  • Rating 2500以上のIM、
  • Rating 2450以上のSIM、
  • Rating 2400以上のGM、
  • Rating 2550以上の者

Candidatesの参加資格

  • 過去か進行中のFinalsで50%以上の勝率の参加者
  • 過去か進行中のCandidatesで、60%以上の勝率でFinalsに進出できなかった者
  • Semi-Finalsで1位、2位
  • ワールドカップ(WC)の決勝で1位、2位
  • 地域チャンピオン(カテゴリ9以上)で1位、2位
  • 以前の世界チャンピオン
  • 5つ以上GMノームを獲得したGM
  • Rating 2600以上の者

Finalsの参加資格。

  • 過去のFinalsで、1位と2位と3位
  • Candidatesで、1位と2位

2)女性世界チャンピオン

Semi-Finals→ Finalsの流れです。

Semi-Finalsの参加資格

  • 過去の2つのFinalsで、30%以上の勝率のFinals参加者
  • 過去の2つのSemi-Finalsで60%以上の勝率でFinalsに進出できなかった者、
  • 国際CCレディスマスター資格者
  • 国際CCレディスマスター資格者と同等レベルの国別組織からの推薦者でICCFに承認された者

Finalsの参加資格

  • 過去のFinalsで、1位、2位、3位
  • Semi-Finalsで勝者と次点者

通信チェスは普通のチェスと何がどのように違うのでしょうか?

普通のチェスは、対局者が同時に向かい合って対局するものです。チェス盤を挟んで座るところから、OTB(Over The Board)といいます。公式トーナメントでは通常チェスクロックを使用し、持ち時間切れは負けとなります。 OTBを広く解釈すれば、ICCやyahoochessのように、空間的に遠く隔たっていてインターネットを利用したオンライン対局も、対局者が同じ盤面を見ながら同時刻に向かい合って対局しているのであれば、それはOTB対局ということができます(OTB は o-t-b などとも綴ります)。

通信チェスの一番の特徴は、対局が同時刻に行われず、異なる時刻に対局するチェスだということです。
指し手は、郵便(Postal)・Email・Web server などの通信(correspondence)手段を利用して対局相手に伝えます。同時期に複数のトーナメントに参加していれば、毎日のように対局相手からの指し手が届くことも稀ではありません。

通信チェスの二番目の特徴は、持ち時間が、時間ではなく、日数で定められていることです。
たとえば、「10手ごとに40日」などのごとくです。対局者は対局相手から指し手が届くと、持ち日数の中で、ゆっくりじっくり、何日考えたって良いのです。どうです、スローライフな時代にぴったりですね。たくさんのトーナメントに同時参加すると毎日のように指し手が届くのでちょっと忙しいことになります。自分の状況に適したゲーム数で進行できるように、参加するトーナメント数をコントロールしましょう。

対局相手が日数切れとなっても、(どんなことが起ころうとも)対局相手を責めることは厳禁です。ルールに従い、対局相手に自分の指し手が届いているかと尋ねることによって、「忘れていませんか」と注意を促さなければなりません。対局相手から返事がきてはじめて対局相手の「時間切れ」が確定します(WebChessでは自動的に時間切れが確定します)ので、対局の立会人であるTD(Tournament Directer)に連絡しましょう。
対局相手が指し手を伝えてこない場合は、その旨をTDに苦情申立てします。TDからも相手に連絡が取れないときは、あなたの勝ち(または廃止)だとTDが裁定してくれます。
AMICI SUMUS!

心に余裕を持ってチェスを楽しみましょう。対局相手は皆、チェス友達(chess friends)です。通信チェスの国際本部である ICCF(International Correspondence Chess Federation)のモットーは、“amici sumus”です。これは、英語で“We are friends”、スペイン語で“Somos amigos”、イタリア語で“Siamo amici”、すなわち「私たちは友達だ」を意味するラテン語なんですよ。
“amici sumus”は通信チェスでは挨拶語としてもよく使われます。例えば、通信文のはじめに書いたり、結びの文句の”sincerely yours”の代わりに”amici sumus”を使ったりします。

さて、通信チェスの三番目の特徴は、納得がいくまで、チェス書を調べても良いということです。
「ヒカルの碁」という囲碁マンガに、中学校の囲碁部のキャプテンが、公式トーナメントで定石書を見ながら対局しようとするシーンがありました。本当は囲碁も強い将棋部のキャプテンに「強くなれないぞ」って怒鳴られていましたけど。

通信チェスは初心者でも参加しやすい理由がここにあります。定跡のいろいろな変化を調べ、考えながら指していくことで、力がつかないはずはありません。自分の頭で考える、というところが大事です。序盤に仕掛けられた罠を見破ることができれば快哉を叫びたくなるでしょう。

通信チェスで指し手はどう伝えるのですか?

通信チェスでは指し手をどのように対局者に伝えるのでしょうか 通信チェスでは、指し手の記号を書いて送信することで、その手を「指した」ことになります。 したがって、はじめに記号の表し方=表記法を覚えることが必要です。 チェスの表記法はいろいろありますが、現在は代数式(algebraic notation、国際式)が世界標準となって使用されています。 代数式は、ポーン以外の駒記号に駒名称の頭文字を用います(ポーンは駒記号なしで表す)。それぞれの国・地方の使用言語により駒の名前は異なり、異なる駒記号で棋書やチェス雑誌が発行されているのです。 JCCA 国内対局での指し手の表記法 JCCAでも標準代数式を指し手の表記法とし、駒記号は英語圏と同じ[KQRBN]と定めています。

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みなさん既に代数式表記法にはおなじみのと思います。もしそうでなければ、小野田博一著「チェス――入門から上達まで」有紀書房 1994年 がおすすめです。「あなたは表記の練習をする必要がありません。本書を読み(?)進めるうちに自然におぼえられるように、構成にくふうがしてありますから」(同書 p. 32 より)。それに、この本は並の入門書でありません。後々まで楽しめる本だと思います。参照: “チェスの本”のページ さて、全般的説明は入門書やFIDEのサイトに譲るとして、こごては細かな点をいくつか復習しておきましょう。 ルールにより、取り、チェック、メイト、アンパッサンなどの符号を書かなくても、不可能な手とはならない。また、指し手の連番号を誤記しても、指し手が判読できる場合は、不明瞭な手とはならない。 Eメール対局の場合です。文字はすべて、いわゆる半角文字を使うこと。かな漢字変換機能(IME)をオンにしたままタイプすると全角文字を混ぜてしまうことがありますが厳密にはこれは違反です。対局の記録・管理にはなんらかのソフトを使うのが通常です。外国製のアプリケーションなら全角文字は漢字と同じで読み取れないでしょう。 これもEメール対局の場合です。キャスリングの記号は通常、数字のゼロを使った 0-0、0-0-0 ですが O-O、O-O-O(大文字のオー)も許容されます。ゲーム結果報告書はPGNという形式での提出が義務づけられていますが、PGNは大文字のオーを使うからです。 不明瞭な手? imgce5dcb47835916dc29b41.gif

 

[FEN: rnbqk2r/pppp1ppp/5n2/4p3/1b2P3/2NP4/PPP2PPP/R1BQKBNR w KQkq – 1 4] 上の局面で「4. Ne2」は不明瞭な手でしょうか?確かに、e2にはNc3とNg1の二つのナイトが利いています。しかしNc3は黒のBb4によってキングにピンされていて動けません。出発点を区別する必要があるのは到着点に複数の同じ種類の駒が動けるときで、利いているときではありません。ですから、この局面での「4. Ne2」は正しい表記です。不明瞭な手ではありません。では、「4. Nge2」と書いたら?もちろん、全く問題ありません。どちらの表記でも、消費日数追加の罰則を受けることはありません。 上の局面で、仮に d2 にポーンあるいはビショップがいたら、そのときは「4. Nge2」か「4. Nce2」かで区別します。このようにファイルだけで出発点を区別できるときはファイル名を使います。ファイルでは区別できずランクで区別する必要があれば、例えば「4. N1e2」とか「4. N3e2」とかのようにします。ファイルだけでもランクだけでも不十分の場合は、もちろん両方書きます、「4. Ng1e2」とか「4. Nc3e2」とかのように。取る記号は出発点と到着点の間に入ります、4. Ngxe2、4. Ng1xe2 etc。 ICCF 国際対局での表記法 上述のように代数式は使用言語によって駒記号が様々ですから、国際対局では互いに理解できなかったり、誤解したりするかもれません。PGNも代数式の一種で、駒記号はやはり言語により異なります。 書籍では駒記号の代わりに絵文字を使った代数式(figurine algebraic)でこの問題を解決しようとしているものもありますが、通信チェスには不向きなことはいうまでもありません。 かといって、どれか一つの言語を選ぶとなると、意見の一致をみるのが難しいこともあるでしょうし、国際交流のつもりが国際紛争に発展……という恐れがなきにしもあらずです。 そこで、使用言語の異なる人々の間でゲームするときでも困らないよう、国際対局に必須の数字式表記法(numeric notation)が以下のように決められています。

 

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[a1]を[11]、[h8]を[88]として、駒の出発点と、到着点の4数字を並べます。例、「Ng1-f3」は、[7163]キャスリングは、キングの動きで表します。白0-0は[5171]0-0-0は[5131]黒0-0は[5878]0-0-0は[5838]アンパサンで取るのもポーンの出発点と到着点で表します。dxc6 e.p. は[4536]ポーンのプロモーション(昇格)も数字で、5桁目として表します。1=Q, 2=R, 3=B, 4=N例、「Pe7-e8=Q」は[57581]([5758(1)]とカッコの中に入れたり、到着ランクを省略して[5751]と無理矢理4桁にする方式もありますが、標準ではありません)

退会する場合はどうしたらよいですか?

事務局まで、退会の旨、電子メールまたは郵送でご連絡ください。

既に振り込んだ年会費、参加料やpawn(JCCA内仮想通貨)は、返金しません。

また、対局中のトーナメントがあれば、速やかに中途離脱する旨対局相手にご連絡ください。

また、退会後も再入会することができます。その場合は、過去のJCCAレイティングを継承することも可能です。

2016年1月2日 | カテゴリー :

Portable Game Notationとはなんですか?

Portable Game Notation

  • PGNは Portable Game Notation の頭文字。
  • PGNは世界中のサイトで広く使われている記録書式で、数えきれないほどのゲームがダウンロード可能。
  • PGNの書類はASCIIテキスト・ファイルで、エディタ等で開けば読んで理解でき、対応ソフトで簡単にゲームを再現できる。
  • PGNはJCCAの記録書式でもあり、すべてのゲームは終了後にPGNでサイト上に公開される。
  • PGNはJCCAのゲーム結果報告書の書式でもある。
PGNの例

第31期郵便チェス決勝トーナメントからの1局です。

[Event "31st Postal Championship, Final"]
[Site "JCCA"]
[Date "2008.09.01"]
[Round "-"]
[White "Tamiya, Masaru"]
[Black "Ikegami, Osamu"]
[Result "1/2-1/2"]
[WhiteJCCA "1462"]
[BlackJCCA "1767"]
[EndDate "2009.07.14"]
[ECO "E91"]

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d6 4. Nf3 Bg7 5. e4 O-O 6. Be2 c5 7. O-O cxd4
8. Nxd4 Re8 9. Be3 Nc6 10. Qd2 Bd7 11. Rad1 Ng4 12. h3 Nxe3 13. fxe3 Bh6
14. Nxc6 Bxc6 15. Nd5 Bg5 16. Bf3 e6 17. Nf4 f6 18. Qxd6 e5 19. Qa3 Qb6
20. c5 Qa6 21. Qxa6 bxa6 22. Nd5 Bxd5 23. Rxd5 Rab8 24. b3 Bxe3+ 25. Kh2
Rec8 26. Be2 Rxc5 27. Rxc5 Bxc5 28. Rxf6 a5 29. Bc4+ Kg7 30. Rf7+ Kh6
31. Kg3 Rf8 32. Rxf8 Bxf8 33. Kf3 Kg5 34. g3 h6 35. h4+ Kf6 36. g4 Be7
37. Ke3 Kg7 38. h5 g5 39. a4 1/2-1/2

PGNの構造

この例を見て分かるように、PGNは前半と後半に分かれています。

前半には「どこで、誰が、..」と5W1H的なことが書かれています。

後半は見慣れた代数式のスコアのようです。

詳しくは後ほど..。

PGNはかなり古い(寄り道)

あるサイトで見つけ、今このページを書くのに参考にしている文書(規格書)には「1994年3月12日改訂」とあります。たしか「Windows 3.1」日本発売の翌年です。これは改訂の年ですから、規格はさらに以前からあったことになります。MS-DOSの時代、マウスなんか無くて画面の横サイズは640ドット。ローマ字を横8ドットで表示していたから、1行80文字、ASCIIのみ。そんな時代に考えられたPGNなのでしょう。

PGNは何のための規格(だったの)か(寄り道2)

PはportableのP。Portableは可搬性のある、という意味です。つまり、ある環境から別の環境に移しやすい、ということです。チンプンカンプン。

コンピュータ・チェス・プログラムの開発と利用が活発になると、ひとつのコンピュータから他のコンピュータにデータを移したい、あるプログラムで使ったチェスの記録を別のプログラムでも使いたいという要求が強くなりました。

コンピュータが容易に解析でき生成もしやすい形式、そしてヒトも理解(読み書き)できる、標準となる形式として考えだされたのがPGNです。

話を元に戻しましょう。

PGNの構造 2

PGNの前半、[ ]で括られている数行を「タグ・ペア・セクション」と呼びます。直訳すると「標識対部分」でしょうか。

1行だけを詳しく見ると、例えば、

[Site "JCCA"]

この1行は、いうまでもなく「場所(Site)は JCCA」を表しています。要素は5つ:

[ 始まりの角括弧
Site タグ名
区切りの空白1つ
“JCCA” タグ値。このように “(ダブルクォーテーション)で囲みます。
] 終わりの角括弧

書き方はコンピュータが容易に解析できるように厳密に決められています。

(「場所」というのがヘンですか?次項で)

タグ・ペア・セクション

最初の例のタグ・ペア・セクションを再掲します。

[Event "31st Postal Championship, Final"]
[Site "JCCA"]
[Date "2008.09.01"]
[Round "-"]
[White "Tamiya, Masaru"]
[Black "Ikegami, Osamu"]
[Result "1/2-1/2"]
[WhiteJCCA "1462"]
[BlackJCCA "1767"]
[EndDate "2009.07.14"]
[ECO "E91"]

一つ一つ見ていきましょう。

Event
トーナメントやマッチの名称です。
Site
場所です。通信チェスでは「場所」といわれてもピンと来ませんが、PGNはチェス一般を対象にしていますから。通常は都市の名前が入ります。続けて国を表示するなら [Site “Tokyo, JPN”] のようにIOCのコードが使われます(もちろん通信チェスではないチェスの場合)。
我々は、ICCFのサーバーをレンタルしたウェブチェスの場合は”ICCF”、他の場合は “JCCA”とします。
Date
ゲームが行われた(始まった)日。通信チェスでは対局開始基準日です。
年月日はピリオドで区切ります。古いですね。今だったらISOに倣ってハイフン(”-“)を使う規格になっていたでしょう。
Round
ハイフン(”-“)は「ラウンドなし」を表しています。我々は同時に複数のゲームをプレイして round を使わないですから。普通はラウンドを数字で表します。また “?” は「不明」の場合です。
White と Black
白、黒のプレーヤーの名前です。頭文字は大文字にします。
このように、姓・名の順で、間を “, “(カンマと空白)で区切る決まりです。我々の姓、名の順は本来のもので、カンマは倒置を表すのでしょうから納得いかないのですが、PGNは古い規格なので妥協することにしましょう。
Result
結果。”1-0″か”1/2-1/2″か”0-1″です。ゲームが終わっていないときは “*”(アスタリスク)を使います。

以上は7つの必須タグ・ペア。PGNでは必ず記述する決まりとなっています。我々には不要の Round タグも省かずに、値を “-” とします。

WhiteJCCA と BlackJCCA
JCCA独自のタグで、JCCAレイティングを表します。ICCFレイティングは White(Black)Elo です。FIDEレイティングも White(Black)Elo ですが、もちろん別のものです。USCF (The United States Chess Federation) はWhite(Black)USCFを使っています。
White(Black)Eloは数字だけで表し、UR(レイティングなし)は “-” を使うのがPGNの規約です。しかしJCCAのルールでは「仮レイティングは、すべて…カッコをつけて表示」することになっているので、White(Black)JCCA では仮レイティングはカッコに入れています。

このように、タグは必要に応じて作ることができます。頻繁に使われよく知られているタグもあれば、他では見ることのないタグもあります。

EndDate
これもJCCA独自のタグ、ゲームの終了日。結果報告書に必要です。厳密には「メイトはメイトの手を送信した日(消印日)、リザインはリザインの意思を送信した日(消印日)、ドローはドローを受諾する意思を送信した日(消印日)とする」と定められています(事務局発 ML[00237]2006-04-14)。レイティングの計算方法が変わったのでいずれ不要となるかもしれません。サイト上の記録のページでは削除されます。
似たタグで EventDate がありますが、これは競技会が始まった日です。数日間かけて行われるo-t-bのトーナメントの記録で見られます。
ECO
もちろんECOのオープニング分類コードです。よく使われているタグですが、報告書には必要ありません。サイト上のページに記録されるときに付加されます。
ムーブテクスト・セクション(仮称)

Movetext sectionです。Movetext は辞書にありません。最初の例から再掲します。

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d6 4. Nf3 Bg7 5. e4 O-O 6. Be2 c5 7. O-O cxd4
8. Nxd4 Re8 9. Be3 Nc6 10. Qd2 Bd7 11. Rad1 Ng4 12. h3 Nxe3 13. fxe3 Bh6
14. Nxc6 Bxc6 15. Nd5 Bg5 16. Bf3 e6 17. Nf4 f6 18. Qxd6 e5 19. Qa3 Qb6
20. c5 Qa6 21. Qxa6 bxa6 22. Nd5 Bxd5 23. Rxd5 Rab8 24. b3 Bxe3+ 25. Kh2
Rec8 26. Be2 Rxc5 27. Rxc5 Bxc5 28. Rxf6 a5 29. Bc4+ Kg7 30. Rf7+ Kh6
31. Kg3 Rf8 32. Rxf8 Bxf8 33. Kf3 Kg5 34. g3 h6 35. h4+ Kf6 36. g4 Be7
37. Ke3 Kg7 38. h5 g5 39. a4 1/2-1/2

見た通り、標準的な代数式で記述されています。アンパサン記号の省略などFIDEのものとは違いがありますが、読んで理解するのに何の問題もないと思います。JCCAでは英語式の駒記号 K, Q, R, B および N を使うルールです。PGN自体は駒記号を規定していませんから、他言語の駒記号を使ったPGNを目にする機会もあるかもしれません。

PGNを、もしタイプするとしたら

PGNを手でタイプするのはお勧めできません。PGNソフトを使いましょう。楽に、正確に作成できます。

もしPGNソフトを使わず手でタイプするなら、以下のような注意が必要です(この項末尾参照)。

PGNを手でタイプしたりしない賢明な方、この項は読み飛ばしてください。

文字はすべて、いわゆる半角文字
これがなかなか難しいようで、全角文字が混じっている報告書をよく見ます。かな漢字変換を切らずに、無変換とか半角変換とかを使って入力することが原因と思われます。プロポーショナル・フォントだと全角と半角を見た目で区別するのが難しいのでしょう。日本製のPGNソフトなら(Pigeon Log のように)半角文字に読み替えて処理してくれるかもしれません。しかし外国製のソフトが漢字を知っているとは思えません。致命的なエラーになるでしょう。
7-bit ASCII印字可能文字に限られているのはPGNが古い規格で致し方ないしょう。
タグ名は1語
EventDateなどのタグ名に Event Date のように空白が入ってはなりません。許されるのは英数字とアンダースコアのみです。多くのPGNソフトは余分な空白があれば読み込んだときに削除します。
[TagName “なんとか かんとか”]
タグ名の後ろに空白をひとつ入れます。タグ値(ダブルクォーテーションで囲まれた部分)以外で空白があるのはここだけです。
日付
年は4桁使い、月日が1桁のときはゼロを補って2桁にします。読み込み時に自動的に2桁にしてくれるソフトが多いです。区切りは”.”です。
White と Black
前述のように姓・名の順で、間を “, “(カンマと空白)で区切る決まりです。カンマの後ろに空白をひとつ入れるのは英文などの通常です。

タグ・ペア・セクションの途中に空行があってはいけません。

タグ・ペア・セクションとムーブテクスト・セクション(差し手の部分)の間に、空行を1行入れます。

ムーブテクスト・セクションの途中に空行があってはいけません。

ムーブテクスト・セクションは79文字以下で改行します。

ムーブテクスト・セクションの末尾に空白文字ひとつ(または改行)を介してResultタグのタグ値と同じもの(1-0, * etc)を記入します。

ムーブテクスト・セクションには以下のように、一般的な表記といくつかの違いがあります。

  • キャスリングは一般の 0(数字のゼロ)ではなく、大文字の O(オゥ)を使う。
  • アンパサン記号は表記しない。
  • プロモーションは =(等号)を挿みクイーンなどの駒記号に続ける。途中に空白を入れない。例、29. dxc8=Q+

これらの決まりと異なるソースを読み込ませたときもPGNソフトは可能な限り補正します

ですから、PGNソフトを使えない方は、あまり細かいことは気にせず報告書をタイプしてよいのです。でも、指し手の書き間違いは補正できませんよ!

PGNも近頃は..

前項までにあるように、PGNソフトはヒトがタイプした、規約どおりではないデータでも可能な限り補正して読み込む機能を持っています。

これを利用して、本来の規約とは少々異なるファイルも多く流布しています。例えば、1. e4、この 1. と e4 の間には空白が入るのが本来ですが、これらの空白を省いているものをよく見かけます。もちろんPGNソフトは正しく解析できますし、大量のゲームを収録するとなるとファイルの大きさをずいぶんと節約できるわけです。

有名なサイトで配布しているもので、メイトでゲームが終わっているのに # ではなく + で終わらせているPGNがあります。ヒトが読むときには困ることもありますが、PGNソフトでの閲覧には何ら問題ありません。

PGNのコメント

PGNにはコメントを記述する方法も決められています。コメント付きのPGNを見た方もたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、世界中でフリーに配布されているPGNにほとんどコメントがないのは著作権が絡んでいると思われます。スコア自体はチェス界の共有財産で著作権なし、コメントには著作権あり、なのでしょう。

PGNとJCCA

頭記のようにJCCAではゲーム記録をPGNで公開するとともに、ゲーム結果報告書の様式もPGNとしています。必要事項を明確にできますし、また再処理にかかる手間を最小に押さえる効果もあります。

会員のみなさんのPGN利用の便に供するため、JCCAではPGNのフリーウェアを用意しています。ごく限られた機能のものですが自局の記録(対局中のポジションの再現)、PGNの閲覧、報告書の作成に使えます。”道具 (Pigeon Log)” 動作環境はWin32です。残念ながらマッキントッシュなどでは使えません。

PGNに関してのごく一部をJCCAからの視点に限って記述しました。

ICCFのタイトルにはどういうものがありますか?

ICCFタイトル

  • ICCFタイトルは、将棋囲碁でいうところの高段位の認定資格です。当然のことながら、資格を取得するためには、一定の試合数を経て、勝ち数を取る必要があります。
  • タイトルには、Grandmaster、Senior International Master、International Master、Correspondence Chess Master,Correspondence Chess Expertがあります。
それぞれ、レイティングレベルとしては、以下のレイティング相当とみなされます。
    • Grandmaster – 2600
    • Senior International Master – 2525
    • International Master – 2450
    • Correspondence Chess Master – 2300
    • Correspondence Chess Expert – 2150
  • ICCFタイトルの取り方はICCFタイトルの取り方まで。

ICCFタイトルの取り方

  • ICCFタイトルを取るには、トーナメントに参加し、トーナメントの平均レイテイングレベル(カテゴリといいます。)に対応した、勝ち数(引き分け0.5ポイントも含む)を複数トーナメントで取得する必要があります。
  • カテゴリは、トーナメント規則159ページからのカテゴリの表を参照してください。カテゴリIは、トーナメントの参加者の平均レイティングレベルが2251 – 2275を示します。 また、各資格の勝ち数も同じページの表を参照してください。
    • Grandmaster
      • 取得するためには、既定数の試合以上トーナメントで試合し、2つ以上のGM基準の勝ち数を得る必要があります
    • Senior International Master
      • 取得するためには、既定数の試合以上トーナメントで試合し、2つ以上のSIM基準の勝ち数を得る必要があります
    • International Master
      • 取得するためには、既定数の試合以上トーナメントで試合し、2つ以上のIM基準の勝ち数を得る必要があります
    • Correspondence Chess Master
      • 取得するためには、既定数の試合以上トーナメントで試合し、2つ以上のCCM基準の勝ち数を得る必要があります
    • Correspondence Chess Expert
      • 取得するためには、既定数の試合以上トーナメントで試合し、2つ以上のCCE基準の勝ち数を得る必要があります

ICCFサーバーで対局されているWeb戦を見るにはどうしたらよいでしょうか

ICCFサーバーで対局されているWeb戦は、対局が終了すると、全ての結果表の対局を見ることができる設定をしている場合が多いです。

国内トーナメントは、リアルタイムに対局を見ることができます。
たとえば1st JCCA Webchess Open Championshipではhttp://www.iccf-webchess.com/EventCrossTable.aspx?id=11886として設定されています。
このURLをクリックすると結果表が見られます。結果表の、0とか1とか1/2とか数字のある欄(または空白の欄)をクリックすると閲覧許可された対局なら対局盤面が出てきます。

盤面の下にSTART << < > >> Endとバーがありますので、バーを操作して駒を動かします。STARTは、最初に戻る。<<は、白黒合わせて10手戻る。<は、1手戻る。>は、1手進む。>>は、白黒合わせて10手進む。 Endは、最終むまで進む。です。

get PGNをクリックすると、対局の棋譜をPGN形式でダウンロードできます。

※国内トーナメントのWeb戦は、対局の結果表のURLのページを参照して、対局鑑賞に利用してください。